今回はグルジアの小麦の話Part2です
郷土色豊かなパンにたくさん出会いました
今回も、前回に引き続き、私が学術調査に行ったグルジアの話です。憧れていたグルジア固有の小麦は見られなかったという話をしましたが、パンについては珍しいものを見ることができました。トニズ・プリというパンを前回紹介しましたが、それ以外に印象に残ったものに、ハチャ・プリがあります。これはピザに近いもので、グルジアの有名な郷土料理の一つだそうです。両端のとがった特有な形の厚みのあるパンに、チーズと卵、その他の具材をのせて焼いたもので、溶けたチーズと半熟卵をパンと一緒に食べる、ボリュームのある食べ物です。現地の人に勧められて食べたのですが、私が食べたのはチーズと卵だけのシンプルなものだったせいか、チーズの塩気が強すぎ、正直期待したほどではありませんでした。ハチャ・プリは地域色が強いそうなので、次に機会があれば他地域のものでリベンジしたいと思います。
その他の珍しいパンとしては、ハチミツが混ざったナズキというパンや、トウモロコシで作ったムチャディという揚げパンがありました。特にムチャディは、トウモロコシ粉なのでずっしりした感じはありましたが、冷めても硬くならず意外においしいパンでした。今回の調査では、小麦の古い品種は見つかりませんでしたが、トウモロコシは村々で色々な品種を見ることができました。おもしろいことに、日本と同じように、ゆでトウモロコシも食べていました。私も食べましたが、日本と違い全く甘みはありませんでしたが、塩味でモチモチしてとても新鮮に感じました。今の日本のトウモロコシは甘みが強い改良品種ですが、昔の日本人が食べていたのはこんな感じだったのかもしれない、と思いながら食べました。
グルジアの郷土料理の一つハチャ・プリ。
立ち寄った農家で出してくれたトウモロコシの揚げパン、
ムチャディ。
筆者:笹沼恒男
2015.1